蛍火と白狐




「君、体力ないんですね。まだたったの三分の二を上っただけなのに」



青年さんの皮肉に顔を上げる。


三分の二でも結構な運動量なんだよ。ご老人とか上れないって。



そう言いたかったけど、予想以上に動悸が激しくて言えなかった。



「……結構いい眺めですね」



青年さんが不可解な言葉を発した。上に辿り着かないと、お世話にも眺めはいいとは言えないと思うけど……。



私は戻ってきた体力を使い、再び上り始める。もう少し、もう少しっ。



「あ……、もう動くんですか。少し惜しい気もしますが、仕方ありません」



何が惜しいのかもさっぱりわからないけど、私は頑張って上りきった。