朝、ほのかさんの家に寄るために早めに出た。早朝の散歩みたいで何か気分いいかも。



……一人、ならね。



「爽やかな朝ですね〜。空気は美味しくありませんが」



制服のブレザーを来た青年さんが、ふにゃっとした顔で隣を歩く。



気は重くならないものの、やっぱり少し緊張というか、なんというか……。



「ふふ、可愛らしいですね」



何がだろう。一体何に対しての可愛らしいなんだろう。猫でもいたのかな。



何て考えを巡らせていたら、石段の前に着いた。階段の前にくると、気がどっしりと重くなる。



それでもほのかさんに返すため、気力を振り絞って階段を上り始めて早二分。



私の体力は限界を迎えていた。暑い、苦しい、足痛い。



そんな私の気を知ってか知らずか、青年さんは悠々と私の横を通り過ぎていく。すごく余裕そうな笑みをたたえて。