それからほのかさんの制服に着替えて、下校時刻になったから帰り道を歩いていた。
色んな人が青年さんを見ていく。青年さんはいつも通りだけど。
目立つもんね。
「あ、ここです」
至って平凡な、別に広くも大きくもない普通の家。それが町野家。
「では、打ち合わせ通りにお願いします」
「うん」
帰り道を歩く途中、怪しまれないように打ち合わせをした。
「ただいまー……。お母さん、校條さん来たよー」
青年さんは、そういう風に記憶を変えたらしい。ここに住む理由は、両親が海外に勤めることになったから。
「あら……」
いつもと同じ、優しそうなお母さんの顔を見ると、何だか安心する。
「お久し振りです。すみません、こちらに住まわせてもらうことになってしまって」
「いいのよ。息子が出来たみたいで嬉しいわ」
「有り難うございます」
……青年さんの演技は完璧だった。