蛍火と白狐




さて、雪白さんの帰りを待とう。



そう思って立ち上がろうとしたら、足下が滑った。それはもう、マンガのようにツルリと。



「えっ?」



眼前に透き通った水が迫る。あ、泉に落ちようとしてるんだ。



って、冷静に分析してる場合じゃない!



「蛍っ!!」



雪白さんの声が聞こえた時にはもう、私は泉の中に落ちていた。



冷たい、というか、思ったより深くて、底が見えない。どうしよ、どんどん沈んでいく。



私、泳ぐの苦手なのにっ……!



遠ざかっていく光を求めるように藻掻く私。けど、藻掻いた所で、水面に出られるわけがなく。



私は空しくも沈んでいく。藻掻いただけ体力を消費して。哀しくも沈んでいく。



私、溺れ死ぬのかぁ。



そう思った時。