「……さて、彩華も多分言ったと思いますが、彼女を帰す気はありません。ずっとこちらに住み続けていただきます。
君にも彼女にも家族にも害はない筈です。後で記憶を消しますからね。何を意固地になってるんです?」
「それが嫌なのよ!蛍は私が今まで会った中で一番の子なのっ。
またあのつまらない人生に戻りたくない。蛍と沢山思い出作りたいものっ」
「記憶を消してしまえばその思いもなくなります。それでいいじゃないですか」
「生憎だけど、私、我侭なの」
私は素早く袖から札を出し、彼に放った。
「!」
瞬く間もなく、部屋中に雷が乱舞した。けたたましい音と高圧の電流がほとばしる。
守りの札を使いながら、私は部屋を出た。
「蛍っ!!」
蛍を捜すために。
蛍はきっと、いずれ……。
殺されて、しまう。