蛍火と白狐




境内はかなり広かった。真ん中にでんと立派な社が建ってる。



「わ……」



「すごいでしょ?待ってて、私着替えてくるから。その間にお参りでもしといて」



「うん」



雪白さんはタタタと軽快に走っていった。すごい、あの階段を上りきった直後に走れるなんて。



私はお賽銭箱に百円を入れて、鐘を鳴らし、手を叩いて合わせた。



どうか、お母さんの体調が安定しますように。



「……ふぅ」



終わって周りを見てみると、安寧の泉という立て札がある。



あ、ホントだ、泉がある。



近くに行ってみると、説明が書いてある看板があった。



えっと、手ですくって飲むことが出来ます。飲めば貴方に平穏と無病の日々が訪れるかもしれません、か。



……あやふやな……。



でも、飲んでみようかな。なんとなく気になり、水をすくって飲んだ。



冷たくて美味しい。