蛍火と白狐




「さて、そろそろ帰りますか。とても不愉快な思いもしたわけですし」



「もうちょいゆっくりしてけばいいのに。もうすぐ昼だし、飯くらい奢ってやるよ」



「結構です。君といると、折角の美味しいご飯も不味くなってしまいますから」



「ちぇっ。いーっつもそう言って断るんだからよ〜」



イケメンさんは顔をテーブルに伏せて、バタバタと手足を動かした。



まるで拗ねた子供みたい。



「さ、今日も走りますから、しっかり掴まってて下さいね」



そして、また私を軽々と抱き上げた。力持ちだなぁ〜。私、重くないかなぁ?



「言葉ちゃんって、帰る時比較的走る派だよな。何で?」



「一つは早く君から離れたいから。一つは走ることも好きだから。一つは早く家に帰りたいから。一つは……」



そこで青年さんの言葉が止まる。



「……これは内緒にしておきます」



「何だそれ!気になるじゃんかよ〜っ!」



「内緒です。では、さようなら」



「おぅ!気ぃ付けて帰れよ!」