「昔……。ずうっと昔だけんど、この国は腐ってたんだべさ。かっちゃが言ってた。
活気なんかなくて、毎日騙し合い、盗り合い、殺し合い。
でも先代のお狐様が継いでからは変わったべ。言葉様が就任なさってからは、もっともっと良くなったべ。
心配せんでも、あんたは元の世界に戻れるべよ」
私が心配してるのは騙されることだったんだけど。ううん、この説明も嘘かもしれない。
でも、警戒を表に出しちゃ終わりね。
「着いたべ!」
大きな木製の門。門番と思われる人が、私達を見た。
「言葉様はおるべか?人っ子が迷い込んだんだべ」
「生憎だが、言葉様はただ今お出かけ中だ」
「……じゃあ、彩華様は?」
「……彩華様はただ今ご立腹中だ。近寄らない方が賢明だろう。
今すぐ帰すことは出来ないが、暫くすれば言葉様もご帰還なさるだろう。それまで人の子は屋敷で待たれるがいい」


