蛍火と白狐




「だけどね、これは禁忌よ。それなりのリスクが伴うわ。一回使えば、寿命が減ってしまうの」



「私の寿命くらいくれてやるわよ!それで蛍が帰ってくるならお釣りがでるわ」



「そう……。わかったわ。禁術を教えましょう」



お母さんは「付いてらっしゃい」と言うと、泉まで歩いた。



「道具は何も要らないわ。ただ、呪文を唱えるだけよ。復唱して」



私は頷く。



古代の言葉みたいな複雑で意味のわからない呪文を唱え終えると、泉が白く光った。



私の身体も白い光に包まれる。



「気を付けてね……」



「大丈夫よ。蛍を連れ戻して帰ってくるから、お母さんはお茶でも飲んで待っててよ」



「えぇ……!」



やがて光が強くなり、私はあまりの眩しさに目を閉じた……。