「町野 蛍さんが行方不明になりました」
朝一番に告げられた衝撃的な言葉。私は暫く、先生が一体何を言ったのか理解出来ずにいた。
―――蛍が行方不明になった。
その言葉が何十回も頭の中を回って、ようやく意味を理解する。
驚愕の事実。愕然とした、漠然とした、呆然とした、だけどそれは紛れもない歴然とした、認めたくもない事実。
だけど一体何故?
答えははっきりしてる。何故、だなんて愚問過ぎて笑えるわ。
―――弥緒。
そう、弥緒のせいだ。ううん、せい、だなんて罪の押し付け。ただのこじつけだわ。
今考えるべきは、蛍が消えた理由や経緯なんかじゃない。蛍を取り戻す方法。
蛍は多分、またあちらの世界にいる。どうにかして、あちら側へ行く方法を見つけなくちゃ。
時間が経てば返してくれる、なんて甘い世界じゃない。
長く居過ぎれば、それこそ取り返しのつかないことになっちゃうもの。