「……はぁ……。起きればいいんでしょう、起きれば」
青年さんがのっそり起き上がった。目がまだとろんとしてて、寝足りなさそう。
うん、うちに来たの真夜中だったもんね。普通に考えて眠いよね。
「たるみ過ぎじゃす!」
……じゃすってなんだろう。
『じゃ』で終わろうとしたところ、でも一応お偉いさんだから敬語にせねばと思った結果、交ざったのかな?
「昨晩遅かったんですからいいじゃないですか、お昼寝くらい」
「夕餉に遅れてはなりませぬっ。お父上様に叱られますぞよ」
「父さんのアレは叱咤とは言いません。愚痴と言います。だらだら長いだけでまるで中身がない、残念な中年です」
実の息子に酷い言われようだ。
「とにかく、夕餉には遅れないように。頼みましたじゃよ」
あ、否定はしないんだ。
「わかってます」
お婆ちゃんは未だぶつぶつ言いながらどこかへ行った。