「それ、好みなんですか?」
それ?
「そのポスターの」
……あ、この男性のことか。
私は頭を振って、否定した。確かにかっこいいとは思えるけど。
「この人のことより、張り方が気になって見てました」
「ふぅん……?」
青年さんは不思議そうな顔をした。それと同時に、面白そうな、何やら楽しそうな。
「さて、思う存分頼んで下さい」
「あ、いえ……。フレンチトーストだけで結構です」
「少食ですね」
「あ、後フルーツの盛り合わせを」
「フルーツ好きなんですか?」
「好きですけど、このフルーツは弥緒の分です」
ね、弥緒。
そう言って弥緒を見れば、嬉しそうにきゅんきゅん鳴いた。