蛍火と白狐



そう思ったら、自然と頬の筋肉が緩むのを感じた。



生きてるのは素晴らしい。発見が絶えないし、僕の知らない面白いことや楽しいことが沢山ある。同時に、その反対もまた、あるのだけど。



しかしだからこそ、生きてるのは素晴らしいと思える。



「お風呂、入ってきますね」



「あ、うん……」



僕は蛍から離れ、お風呂場へ向かう。



生きるのは楽しくて、苦しくて、面白くて、つまらなくて、喜ばしいことで、悲しくて、幸せで、不幸せで。



楽しくて楽しくて、そして何より辛かった。



沢山の人達といることが。皆と和気藹々と過ごす日々が。下らないことで笑ったり、何気ない一日を送ったり、真剣に物事に取り組んだり。



それの何が辛いんだと。他人が聞いたら笑うだろう。馬鹿にするかもしれない。羨むかも。妬まれたり、恨まれたりするかもしれない。



幸せを不幸に思うなんて、と。確かにそうだ。その通りだ。けれど、それが、とある決まったある瞬間に、全てなくなるとしたら。自分だけがそこから消えてしまうとすれば。



考えたら、それは、とても。とても。……とても。



そう、僕は、ただーー。