「それに言葉、結婚は嫌なんでしょ」
「……まぁ、はい」
嫌というか何というか、いや、嫌なんですけど……。どうして嫌かといえば、それは別に僕のわがままとか、そんなんじゃなく……。
あぁ、いや、そんなことはどうでもいい。
そう、どうでもいい。
今更、そんなことを考えても仕方のないことだし、結婚だの何だの、それは本当にどうでもいい。
僕は、ただ。
僕は立ち上がり、蛍を抱きしめた。人肌の温もりはとてもいいです。温もりが直に伝わって、そんなことあるはずがないのに、心まで温まるような、そんな感覚。
「こ、言葉っ?」
狼狽えたような蛍の声。そりゃ、そうですよね。いきなり抱きしめられれば、驚きますよね。ましてや蛍は、こういった経験が皆無に等しいようですし。
「お風呂上がりはいいですね、沢山いい香りがして」
「う、うん?」
「あと、温かいです」
「そりゃあ、ね、うん」


