蛍火と白狐




「ただの夢じゃね?」



「でも、お姉ちゃんの声、前に一度聞いたことあるんだよ。眠っていた時に、お寝坊さんね、起きなさいって」



「……」



言葉は何か考えるように、口元に拳を添えた。



……ん、あれ、ちょっと待って。



「鬼は?」



「あ?鬼?んなもんとっくに退治したよ」



「そっか……」



何だ、私、結局足手まといか。折角ほのかに符術を習って、御札も沢山もらったのに。



足手まといなのは変わらないんだ……。



「……落ち込むなよ。今回のあの靄は俺だって避けられない不意討ちだったぜ。仕方ねぇよ」



「でも……」



「あーもー、落ち込む暇があったら鍛練でもしろ!次頑張ろうとかって考えらんねぇのかっ」



「……そっか、そうだね。ありがとう、翠くん」



「別に礼を言われるようなことしてねぇしバーカ」