蛍火と白狐




「翠くん、お手本見せてくれないかな」



「まあ、いいぜ」



そう頼むと、すぐに目の前に灰色の薄い壁が現れた。触ってみるとツルツルで、むらがない。



「あんた、名前が翠なんだから緑色か藍色にしなさいよ」



「名前関係ねぇだろっ。たく、無茶苦茶言うぜ」



「えいっ」



言葉が壁を軽く蹴った。壁は下の方から徐々にひび割れていき、やがて砕け散る。



「脆いですね。まあ、本気を出せばもっとましなんでしょうけど」



「確かに本気じゃないが、本気を出したところで結果は変わんねぇよ」



「意味あんの、それ」



「ただ張るだけが結界じゃない。状況に応じて色々なことが出来る。バリエーションが豊富なんだぜ、結界は」



翠くんはニヤリと笑う。



「ドヤ顔うざいわよ」



「違ぇよ!」