蛍火と白狐




「……確かに私、蛍のためなら己を顧みないわ。だけど事前に言ってくれさえすれば、私だって立ち止まるわよ」



「ある程度はそうかもしれませんね。でも、僕達は完璧じゃないんですから、間違うことだってあるんです。

……本当なら、蛍の方こそストッパーが必要なんです。ですから、ほのかちゃんは蛍のストッパーになって下さい」



私……?



私、そんなに危なっかしいことするように見えるのかな。むしろこの中で一番大人しいかと……。



「……そうね。蛍のことは任せて。ていうかさ、ちゃん付けやめてくれない?気持ち悪い」



「そうですか?なら、呼び捨てでいかせてもらいますね、ほのか」



キーンコーンカーンコーンと予鈴の音が響く。お昼休みの終わりを告げる音。



「あーあ、もう終わりかぁ」



「仕方ねぇけど戻るか」



二人は屋上から出ていく。言葉が来ないので振り向くと、町の方をじっと見ていた。



「……言葉?」



「あぁ、すみません。僕はまだちょっと用事があるので、先に行っててもらえますか?」



「……うん」



「蛍ー、早くしないと遅刻になるわよー」



「今行くー!」



私は言葉を残して屋上を去った。


すぐに帰ってくるよね。