蛍火と白狐




「おい蛍、起きたか」



「……?」



扉を開けて入ってきた鏡華ちゃんに違和感を覚える。



何か、服の左袖ないんだけど……。



「あの、左袖は……?」



指を差して尋ねると、鏡華ちゃんは怪訝そうに私を見た。



「何や、覚えとらんのか?」



私が忘れた記憶って、鏡華ちゃんの左袖に関する記憶?



「ふぅん、まぁええわ。いいか蛍、ウチは左腕を失くした」



「……え?」



「けど痛かないで。近々義手も出来上がる予定や、気にすんな」



「……痛く、ないの?嘘だよ」



「嘘やあらへん。ほんまに痛ない。人間と一緒にすんなアホ」



そう言って笑う鏡華ちゃんの顔は本当に何でもなさそうで。



「でも……」



「でもやあらへん。とりあえずお前は気にすんな、ええな。これ以上何か言うてきたら怒るで」



「……うん」



釈然としないけど、本人がそう言ってるんだし、仕方ないか……。



神様なんだし、身体の作りとかが根本的に違うのかも。