欠伸を繰り返しながら、窓の外を眺めてた。何があるわけでもないけど、何もすることがないからなんとなく。
……この町は、綺麗だなぁ。
私がこの町に越して来て、一番最初に思ったこと。私は東京に住んでたんだけど、お母さんの身体が合わなくて、半田舎の方に引っ越した。
丁度高校入学の時に。都会とは言い難いけど、田舎とも言えない、中途半端なこの町へ。
でも、私はこっちの方が気に入ってる。何か、平和な感じで。
「ふぁ……」
春の陽気な天気の所為か、欠伸が止まらない。し過ぎて涙が零れた。
光麗(こうらい)高校一年二組、町野 蛍。好きなものはファンタジー小説、嫌いなものはホラー系。
夢は特になし、強いて言うなら、素敵なお嫁さんとか?
彼氏は生まれて此の方出来た例しがありません。私、あんまり可愛くないもん。仕方ないよね。
そんなことを思いながら、また欠伸ひとつ。その直後。
可愛い黒髪のロングヘアーの女の子が、私の机の前に仁王立ちでそこにいた。