蛍火と白狐




『蛍、こっちよ蛍』



誰……?



『蛍、私の可愛い蛍』



貴女は誰なの?どうして私の名前を知ってるの?



それに私は、可愛くない。



『ほら蛍、いい加減起きなさい』



どうして起きなきゃいけないの?



『もう、しょうがない子ね。本当にお寝坊さんなんだから』



ねぇ、貴女は誰なの?



そう聞いても、答えは返ってこない。



声が途絶えた。



知らない筈なのに、どこか懐かしかった。ずっと前から知っていたような……。





……そうだ、起き、なきゃ……。