蛍火と白狐




はたと暴風がやみ、私は恐る恐る目を開いた。



「目を開けては駄目だ、蛍!!」



言葉の声が届いた頃には、私は完全に目を開けてしまっていた。



「―――ぇ?」



迸る赤。朱。紅。



目の前に、腕一本。



大きな大きな、口元を紅色に染めた三尾の狐。



その狐の前に、片腕の欠けた少女、一人。



あれは、あれは、あれは、あれは、あれは、あれは、あれは。



あれ、は……?



「ぃ、やああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」



あれは何なの?あれは何なの?弥緒なの?弥緒があんなことをしたの?



痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!!



怖いっ!!!



「蛍っ―――!!」



意識が遠退いていく。



誰かが呼んでる。



誰が呼んでる?



わからない、知らない、ここにいたくない、眠りたい。



誰かが呼ぶ中、私は意識を遥か遠くへ遠くへ捨てた。