蛍火と白狐




「……言葉……?」



ゆっくり、ゆっくりと振り向く女の子。あれ、何だか怖い。



「丁度ええトコに来よったなぁ、へへへ」



「鏡華、今日は私用で来たのではありません。仕事です」



「新作の惚れ薬が完成したんや。効果の程、試してみぃひんか?ふっへへへへ」



「お断りします。鏡華、仕事です仕事。ほら、研究モードは終わり」



「どんな堅物もイチコロやでぇ。そう、例えばあの言葉もメロメロや!」



「……あぁ、言葉が届かない……」



「ただなぁ、ちょーっと失敗してしもうて、すでに恋しとる奴には効かへんのや。研究重ねんと……」



それから一人でぶつぶつと喋りだした女の子。私達は完全にかやの外。



研究熱心なんだなぁ。



「……鏡華っ!!」



突然、言葉が大声で女の子を呼んだ。び、びっくりした。



「わあ!!何や!?敵襲か!?」



慌てたようにキョロキョロと辺りを見回す女の子。しかし当然、部屋は平和そのもの。



「仕事です」



「……何や、仕事かいな」