蛍火と白狐




「雪白さん、乾かさないとっ」



「そうね。さ、家に行きましょう。聞きたいこともあるし」



「う、うん……」



雪白さんは私の手を引いて歩く。その姿は凛としていて、かっこいい。



いいなぁ、私も雪白さんみたいな美少女に生まれたかった。



「どうしたの?」



私の視線に気付いた雪白さんが、不思議そうな顔をした。



「いえ……。雪白さんは、美少女だなって」



「あら、何?いきなり。蛍が羨むことないわ。蛍だって美少女だもの。私とタイプは違うけどね」



「私は、美少女じゃないです」



だから、雪白さんに羨望を抱く。



「もうっ……。それと、雪白さんって呼ぶのやめて、ほのかって呼んでほしいな」



「えっ?」



ほ、ほのか?私が名前で、誰かを呼ぶの?



「……ほ……の……か、さん……」



掠れるような声だった。



だけど、ほ、ほのかさんは、弾けたような笑顔を見せた。