蛍火と白狐




歩いて歩いて、着いた先はほのかの家の神社。あのしんどい階段を登りきり、泉の前に立つ。



この泉からじゃないと、あちら側に渡れないのかな。



あれ、でも、言葉が私と弥緒を夜中にあちら側へ連れていった時はその場で光が放たれたような……。



「ちょっと白髪頭!!」



ほのかの怒声が耳に飛び込んできた。ほのかはべりっと言葉と私を引き剥がす。



「あんた、何しようとしてんのよっ!」



「色々と事情があるんです。蛍を返してくれますか」



「嫌よっ、あちら側に連れてく気でしょう!?」



渡すもんか、と私を強く抱きしめるほのか。言葉は困ったように私達を見てる。



「ほのか、私なら大丈夫だよ。絶対に帰ってくるから」



言葉にこれ以上迷惑はかけられないし、行くって言ったし。



「そんなこと言ったって、確証なんてどこにもないのよ?」



「約束」



不安げに私を見つめるほのかに、小指を差し出した。



「ほのかが笑顔で"お帰り"って言ってくれるって思うと、あちら側に行くのも悪くないかも」



「もうっ、バカねっ……。約束よ」



「うん」