蛍火と白狐




「では、皆さんが起きたらこのことを伝えて下さい。僕は少し用事があるので、この辺で失礼しますね」



「あぁ、分かった」



「さ、行きましょう」



私は立ち上がり、言葉の後を付いていった。まだ用事あるんだ。



「あ、そうだ、蛍」



「ん?」



言葉が振り向いたと思ったら、何やら頬に生暖かい感触が……。



「!!」



いきなりのことに驚いて、思わず言葉を思い切りグーで突き飛ばしてしまった。



「いったた……」



言葉は後ろによろけ、殴られた鎖骨辺りをさすった。



「ごっ、ごめん言葉!大丈夫……?い、痛、かった?」



せめてパーでしょ私!



「大丈夫です。それより、いい加減慣れて下さいよ」



「ご、ごめ……」



私は俯く。言葉は付き合いたくもない私と仕方なく一緒にいるのに、殴るって私どういうこと。



最低。



「……顔を上げて、蛍」



「?」



顔を上げると、優しく微笑む言葉がいた。



「今回は流石に唐突すぎました、すみません。これからは気を付けますね」



「……う、ん」



言葉はニコッと笑うと、私がお礼を言う前に歩き出してしまった。