「とりあえず、倒れてる人達を運びましょう」
私は翠くんから休養室の場所を教えてもらい、そこに沢山の布団を敷いた。
その作業が終わり、私達はおじいさんの部屋でそれぞれ腰を下ろす。
「淵川の皆さんに、折り入ってお願いがあります。鬼神を封印するため、僕達に協力してほしい」
「はて、これまでは我らの力無しに封印をしてきた筈。それがどうして今になって?」
「今まではたったの百年しか封印期間がありませんでした。ですが、皆さんの力があれば永久の封印が可能です。
百年ごとに復活して世界を荒らされては、今を、未来を生きる者達に安息はありません。
それに、ようやく僕の時代が来ました。これを機会に、皆さんとも和解をしようと思います」
おじいさんはうんうんと頷き、翠くんを見た。翠くんは思い悩むように畳を見つめている。
「翠や、現当主である博文さんはあちら側へ渡ってしまった。わしはもう動けん。
今からこの淵川の当主はお前じゃよ、翠。よく考え、決断するのじゃ」
「……俺、が……」
翠くんはやや目を泳がせ、そして瞑想すると、やがて言葉を真っ直ぐに見つめた。
その瞳に迷いはない。あるのは、強い光。


