「君、本物ですよね……?」
言葉が確認すると、翠くんは声を荒げ、怒りを爆発させた。
「テメェは俺を一体何だと思ってんだよ!俺だって礼の一つくらいするに決まってんだろ!!」
「いやまぁ、そうでしょうけど……」
「おや、その方が狐一族の方かな」
新しい声がして、振り向くと、優しそうなおじいさんが歩いていた。
「この度は本当に、有り難うございました」
深々と頭を下げて感謝の言葉を述べるおじいさんに、言葉は「いいえ」と返す。
「未然に防ぐことは出来ませんでした。これは僕がもっと早くに動かなかったことに責任があります」
「それでも、大勢の人が救われた。孫にまじないをかけたのも、貴方様でしょう?感謝しても足りないくらいです」
尚も深く低頭するおじいさんに、言葉はただ困ったように笑うだけだった。
翠くんにおまじないをかけたんだ。ほら、ね、言葉は知らない間に小さな優しさをくれる。


