蛍火と白狐




「ふぅ……」



言葉が安堵したようなため息を溢した。それに反応し、バッと振り向く翠くん。



「お前っ……!」



「こんにちは。危ないところでしたね」



ニッコリ微笑んで言葉が話しかけた。けど、翠くんは何を思ったのか、



「この、セクハラ狐っ!!」



と叫んだ。



「……はい?えぇっ!?」



言葉は動揺したように口を開けた。誤解だよ翠くん。好きで私を抱き上げる人なんていないから。



「コレはセクハラに含まれません」



「違ぇよ。セクハラってのは、相手が不快に思ったらそこでセクハラ確定なんだよ」



「そうなんですか?」




言葉はこてっと首を傾げ、私覗き込んだ。あれ、弥緒、いつの間に言葉の頭の上に……。



「君は、不快でしたか?」



「えっ?う、ううん、別に……。というより、言葉の方が嫌だったでしょ?ごめんね」



「そんなことありません。本当に嫌だと思うなら、僕はしませんから」



「そう……?」



言葉は「えぇ」と言って頷くと、そっと私を降ろした。



弥緒はそれに伴い、言葉の頭から私の肩に軽快に移動する。