蛍火と白狐




光が消えると、辺りは元の神社の風景だった。あれ、でも、落ちた場所と違う……。



「蛍っ、蛍どこにいるのっ!?」



雪白さんの焦る声。あっちからだ。



「蛍〜〜〜っ!!」



雪白さんは、自分が濡れるのも構わずに、泉に入って私を捜していた。



あれ、深さが胸あたりまでしかない。



「雪白さん、あの……」



私が声をかけると、ピタッと動きを止めて、ポカンと私を見た。



そうだよね。泉に落ちたのに反対側から現れたら。



「蛍〜〜〜っ!!」



雪白さんは光の速さで泉から上がり、私を抱きしめた。



「良かった、捜しても捜しても見つからないから、心配したのよ!!」



「すみません、ご迷惑をおかけして」



「バカっ!迷惑なわけないでしょ!?本当に良かった……!」



そう言って、強く強く私を抱きしめる雪白さんは、冷たかった。



ずっと泉に入って私を捜してたんだ、早く温まらないとっ。