―――淵川家到着前
どこに行くのかなー、なんて思いながら言葉の隣を歩く。言葉は相も変わらず微笑んだまま町を行く。
「……ね、言葉」
私はどうも、周りの人達が見てるんじゃないかって気になって、言葉に声をかけた。
「何ですか?」
何故ならそれは、
「手、離さない……?」
手を繋がれているからだ。最初は普通に歩いてた筈なのに、つい先程手を繋がれた。
私はこういうのに耐性が本当に無くて、言葉は別に何とも思ってないんだろうけど、私は恥ずかしさや人々の好奇の視線で一杯だ。
「だって君、ちょっと目を離すと何かに巻き込まれてそうですから」
私はそんなに常に何かに巻き込まれているイメージがあるのだろうか……。
「あとはそう、ちょっとした虫除けです」
「虫除け?」
手を繋いでいると自然と虫が寄ってこなくなるのかな。いや、それはないよね……。
でも言葉は離してくれそうにないし、仕方ない、諦めようか……。