蛍火と白狐




「―――!!」



まただっ!!



またあの邪悪な気配がするっ。しかもさっきよりも強くないか?



『古より我に仕えし淵川の者共よ』



「な、なんだっ!?」



義父さんが慌てたように叫んだ。今度は義父さんにも聞こえるのか。



『忌々しき狐共による長きに渡った眠りも漸く覚めようぞ。

彼奴らを滅ぼす為我に力を与えよ。

我こそは人の世に安息をもたらす大いなる神、鬼神である!!』



その声が消えると同時に、邪悪な黒いオーラが地から湧き起こってきた。



「な、んだこれは!?」



黒い靄は鬱陶しいくらいにまとわりつく。けどだからといって何が起こるわけでもないようだ。



「義父さん、式紙を使って境内の皆に緊急召集を……って、義父さん?」



義父さんは目を見開き、口を大仰に開け上を見ていた。



な、何だ、何か怖いぞビジュアルが。



「義父さん」



しっかりして下さいと俺が言うより先に、義父さんは藻掻くように空を掻き、叫んだ。



「うあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



「と、義父さん!!!?」



全身から振り絞ったような恐ろしい悲鳴だった。