蛍火と白狐




「すみませんでした。僕が謝るのもなんですが。さて、君を人間界へ送り届けましょう」



あ、送り届けてくれるんだ。良かった、早く帰って雪白さんに謝らなきゃ。



「彩華も帰って、お仕事して下さいね。頼みましたよ」



「はぁい、頼まれましたぁ」



色々不満そうながらも、イロハと呼ばれたその人は帰っていった。



「さぁ、行きましょうか」



青年さんは私の手を再び握り、後ろにある大木に触れた。すると、大木は淡く光りだす。



「これで帰れます。さぁ、ご神木に触れて下さい」



私は言われた通りに大木に触れた。すると、滲み始める世界。



「さようなら。多分、もう二度と会うことはないでしょう。

そして、もう二度と泉に落ちるなんてドジ、踏まないで下さいね」



その言葉を最後に、世界は真っ暗になった。