蛍火と白狐




「修行か?翠」



「うわっ、爺ちゃん。あぁ、修行だけど」



相変わらず背ぇちっちゃいな、爺ちゃんは。若い頃から低かったんかな……。



「それは、狐一族と会ったからかな?」



「えっ……」



あれ、俺、誰にも話してねぇ筈なのに、何で知ってんだ?



「年寄りの目は誤魔化せんよ」



ふぉっふぉっふぉっと高笑いをする爺ちゃん。隠居したとはいえ、やっぱすげぇ。



「それで、どうじゃった?」



「どうって……」



「憎く感じたか?」



「憎いっつーか、腹立った。あいつすげぇムカつくんだ」



思い出すだけでムカムカしてくる。



「どういう腹の立ち方じゃった?例えば親しい腹立ちだったとか」



「は!?親しい腹立ちって何!?苛立ちは苛立ちだ、どういう風だったとか、そんなのねぇだろ」



爺ちゃんは立派に蓄えられた顎髭をいじり、何かを考える。



爺ちゃんは一体、何がしたい?