蛍火と白狐




―――翌日






言葉は十時頃に私の部屋に来て、私の髪を結い始めた。



あ、今日はポニーテールだ。サイドだけちょっと残ってるけど。



「ポニーテールだね」



「えぇ、この服にはポニーテールが合いますからね」



今日はラフな動きやすい服装。言葉が出張だって言うから、念のため。



「それで、どこに行くの?」



何となく聞いてみたら、言葉はいたずらっぽい笑みで「内緒です」と言った。



……少しだけ嫌な予感がするのは、気のせいだといいな。



「さ、準備も整ったところで出張に行きましょうか」



「持ち物はいらないの?」



「あぁ、何もいりません。さぁ、弥緒、蛍の肩に乗って下さい」



弥緒は素直に私の肩に乗る。うん、前より重くなったかも。



「では出発です」