蛍火と白狐




「……一人変なのが増えてるわ」



昼休み、ほのぼのとした空気の中お弁当を頬張っていると、ほのかが不満気に呟いた。



本来なら立ち入り禁止の筈の屋上。緩やかなお昼の雰囲気は今にも壊れそうだった。



それは何故か?



「嫌だなぁ、変なのだなんて」



隣ではサンドイッチを食べる翠くん。



ほのかは何故か翠くん(猫を被った状態)をじとーっと睨み続けている。



「あんたでしょ!蛍にラブレター書いて呼び出したのっ」



「ゴハッ!!」



ほのかがビシッと翠くんを指差して堂々とそう言った。



翠くんはサンドイッチのパンくずを吹き出し、信じられないといった面持ちでほのかを見る。



そうだよほのか。どんな変な趣味を持つ人が存在したって、私にラブレターなんて有り得ないから。



翠くんに失礼だよ。