「させませんよ」
すぐ傍で声がした。とても安心する、優しさを含んだ声音。
「なっ、んだと!?」
淵川くんが立ち止まって、驚愕の表情でその人を見た。
「言葉……」
既に見慣れてしまったその顔に安堵した私は、ほっとしてその場に座り込んだ。
「くそ、俺程度が張った結界なんざ空気と同じだってか?」
「えぇ、まぁ、意味はないですね」
言葉は私を見ると、スッと手を差し伸べた。やっぱり紳士だ、言葉は。
私はその手を借りてよろよろと立ち上がる。
「有り難う……」
「いえ、当然のことをしたまでです。それにしても、感心しませんね。
僕達の陰口はともかく、女性に対してあまりに気遣いの欠片もない行動を取りすぎでしょう」
「うるっせぇよ!俺がどう行動しようが俺の勝手だ。そうだろ!?」
言葉はふむ、と頷く。
「確かにそんなのは君の勝手ですが、相手に迷惑はかけないでほしいものですね」
ごもっとも。
しかし淵川くんは憤慨したのか、更に顔を赤くさせた。


