蛍火と白狐




「印が消えてしまったので、今度はほっぺたにしてみました」



してみなくていい!額でいいからっ!



「実際、ほっぺたの方が効能が長続きするんですよね」



「部位によって違うの?」



「はい。弱い方から手のひらと手の甲、それから二の腕に瞼、額、ほっぺた、首筋、最後に唇。

この順で強くなっていきます」



足とかはないんだ。ふぅん、じゃあ、今のは頬だから、中々強いんだね。



「印って見えるものなの?」



鏡を見ても何も映ってなかったけど。



「いえ、見えません」



じゃあ、どうして消えたのがわかるんだろう?やっぱりつけた時から計算して?



「印は僅かながら霊力を持っています。だからそれを感知してるんです」



霊力……。わ、わからない。私がいる世界とは別の次元の話だ。




「ただいまー」



私は部屋に戻ってベッドにダイブ。何か、色々疲れた。



「弥緒……。私は、どこかおかしいね」



弥緒は何も答えない。尻尾を振ることも、鳴くことも、首を傾げることも何も。



その碧眼は、ただ私を映してる。



「……ごめんね、弥緒。さぁ、明日もいつも通り楽しくいこうねっ」



笑って頭を撫でれば、弥緒は尻尾を振って応えてくれた。