蛍火と白狐




「何でしょう、この既視感。やっぱりどこかで会ったことあります?」



「いえ、ないですね……」



断言出来る。決して記憶力の良い方ではないけど、会ったことはない。



「……そういえば君、死んだんでしたっけ?」



「あ、はい……」



そう言ったら青年さんはくすっと笑って、私の手首を握った。



「死んだ人に、体温も脈拍もありません」



「え、あ……」



私はもう片方の手で胸を触った。心臓、ちゃんと動いてる……。



「ね?つまり、君は生きてます」



私、まだ生きてるんだ……。でもそれなら、ここは本当にどこ?



泉から落ちたら森に着きましたって、何そのファンタジー。いや、好きだけど。