蛍火と白狐




目を開けると、知らない人が目の前にいて、座っている私をしゃがんで見ていた。



真っ白な髪の毛に、灰色の瞳。袖を肘まで捲ったワイシャツに黒いリボンをしていて、黒いベストを着ていた。ズボンも黒い。



西洋感漂う青年さんが、じっと私を見ていた。面白いことなんて何一つないのに。



その青年さんが、こてんと首を傾げた。可愛い仕草をする人だ。



「悲鳴を上げるかと思ったんですけどね。どうやら予想は外れたようです」



私で遊んでるのかな。というか、誰だろう。天使さん?



「ところで、君、どこかで会ったことあります?」



首を傾げたまま、青年さんが聞いてきた。会ったこと……。そんなの勿論、



「ない、ですよ……?」



そう告げると、青年さんは傾げるのをやめて、ずいっと近付いてきた。



か、顔近い顔近い!



「……うーん……」



でもまた首を傾げる。