蛍火と白狐




「笑いたくないなら無理して笑わなくていいんです。フリをしたって気分は晴れないでしょう?」



私の心を見透かしたかのように、青年さん……じゃない、言葉が言う。



「……うん」



その瞬間、フッと表情が消えた。鏡を見なくてもわかる。



言葉がのそっと起き上がったと思うと、何か温かいものに包まれる。



あ……。



えっと、何故言葉は私なんかを抱きしめていらっしゃるの?



というか、周りからの視線が痛い程に突き刺さる。



「今は許してあげるわ」



「拒否権は彼女にあります。……少しの間こうしててもいいですか?」



いいか、どうか。



私には選択は出来ないから。



「あ、違う、えーっと、少しの間こうしてますね」



「……うん」



やっぱり"青年さん"は優しくて。



「有り難う……」



「ふふ、お礼には及びません」