蛍火と白狐




「町野さん、おはよう」



「へっ?あ……お、おはよう……」



いきなり挨拶をされて、まともに返せなかった。どもった返事になっちゃった。



えっと、淵川くんだったっけ?黒縁の眼鏡をかけた、クールそうな男子。



その淵川くんが私の顔をじっと見てくるんですが、どうしたらいいでしょう?



「あの……?」



「……」



淵川くんは何も言わずに前に向き直してしまった。私、顔に何か付いてたかなぁ……。



その時、青年さんが私の袖をくいくいと引っ張った。



「君にお願いなんですが、なるべく僕に対して敬語は使わないでくれますか?」



「え……?」



「その方が嬉しいです」



なんてへにゃりと笑うものだから、



「……うん」



私も笑顔で"お願い"を受け入れた。