緋色の暗殺者 The Best BondS-4

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「ねえ、きみは今、何をしているんだろうね」
　青水晶の光が溢れる空間の中、男は婉然と玉座に腰掛けて、腕に抱く人形へと声をかけた。
　勿論、人形は何も答えない。
「……わかっているよ。全て僕の為なんだろう？　でもね……」
　はらりと頬に落ちた一筋の深青の髪を彼は自らの人差し指で掬いあげて、そのまま髪を指へと巻き付けた。
「いつまで、そうしているつもりだい？　弱いきみは、いつ死ぬかしれないっていうのに」
　拗ねたように唇を尖らせて、男は少女の姿をした人形の毛糸の髪を指で梳く。
　淡い黄色の、その毛糸を。
「そろそろ帰っておいで……きみがしていることは、全て無駄なんだから」
　男はそう呟いて人形に顔を埋め、深く匂いを吸い込んだ。
　想像の中で匂いを堪能した男は恍惚とした表情を浮かべて、しっとりと呟く。
「ああ、きみを抱きたいなあ」
　形の綺麗な唇が抑えきれぬ昂揚からか、いびつな笑みを作る。
「……ふふ、楽しみだよ」
　人形の首に手をかけて、男は糸で出来たその唇に愛おしげに口づけた。