「あ、紅い……鬼、が……!」
息も絶え絶えに告げた男の言葉にゼルの目線は瞬時に男の足に戻っていた。それは条件反射ともいえるもの。
「紅い、鬼……!?」
脳内で連結する。紅という色彩と銃。
「ジ……!?」
――ジストか!?
瞬時に弾き出された答え。それを口にしようとしたときには男は既に気を失っていた。
「あ、テメ、微妙な言葉残して気ィ失ってんじゃねェよ!」
襟首を持ってがくがくと揺らすが、人と会ったことで気を抜いてしまったのか、男の意識が戻る気配は無い。
「ジストが……此処に来たってのか……?」
エナを追ってきたのか、それとも別の用件があったのか。
ジストがエナを追って此処に来たのならば安心だ。あの男はなんだかんだ言いながらもエナを護る。それだけの力を持っている。
そしてそう信じるならば、自分は一度宿に戻るべきなのだ。
だがこれがもし、ジストがエナを追ってきた結果ではなかったり、そもそもジストの仕業でもなかったのだとしたら。
「……だぁっ! わっけわかんねェ!」
どいつもこいつも好き勝手に行動するからこんなに悩まされる羽目になるんだ、と喚いたゼルはエナのニットマフラーの端を噛み切って毛糸を引っ張った。マフラーは面白いほど簡単にその長さを変えていく。
「ゼル……! 待ちなさいと、言って……、……何をしてるんです?」
肩で息をしながら小走りで追いついてきたリゼが、マフラーを潰していくゼルの姿に首を傾げた。
「止血するンだよ」
解いた毛糸を男の太腿にきつく巻きつける。
「止血、ですか……。貴方も随分甘いことをするんですね。それよりも彼女の居場所がわかりました。行きますよ、時間がありません」
「……は?」
思わず止血する手を止めてリゼを見遣る。
「先ほど倒れていた内の一人を起こして話を伺いました。彼女は捕まってオークション会場に運ばれたそうです。指名手配犯というのが幸いしましたね。本当に彼女の悪運の強さは筋金入りです」
起こして、という単語の中に少々手荒な真似をして、という補足が入っているように聞こえたのはおそらくゼルの気のせいなどではない。
そしてさらりと告げた事態が相当面倒なことであるということもまた気のせいではないのだろう。
「オークション会場にって……」
「勿論、商品としてですよ」
息も絶え絶えに告げた男の言葉にゼルの目線は瞬時に男の足に戻っていた。それは条件反射ともいえるもの。
「紅い、鬼……!?」
脳内で連結する。紅という色彩と銃。
「ジ……!?」
――ジストか!?
瞬時に弾き出された答え。それを口にしようとしたときには男は既に気を失っていた。
「あ、テメ、微妙な言葉残して気ィ失ってんじゃねェよ!」
襟首を持ってがくがくと揺らすが、人と会ったことで気を抜いてしまったのか、男の意識が戻る気配は無い。
「ジストが……此処に来たってのか……?」
エナを追ってきたのか、それとも別の用件があったのか。
ジストがエナを追って此処に来たのならば安心だ。あの男はなんだかんだ言いながらもエナを護る。それだけの力を持っている。
そしてそう信じるならば、自分は一度宿に戻るべきなのだ。
だがこれがもし、ジストがエナを追ってきた結果ではなかったり、そもそもジストの仕業でもなかったのだとしたら。
「……だぁっ! わっけわかんねェ!」
どいつもこいつも好き勝手に行動するからこんなに悩まされる羽目になるんだ、と喚いたゼルはエナのニットマフラーの端を噛み切って毛糸を引っ張った。マフラーは面白いほど簡単にその長さを変えていく。
「ゼル……! 待ちなさいと、言って……、……何をしてるんです?」
肩で息をしながら小走りで追いついてきたリゼが、マフラーを潰していくゼルの姿に首を傾げた。
「止血するンだよ」
解いた毛糸を男の太腿にきつく巻きつける。
「止血、ですか……。貴方も随分甘いことをするんですね。それよりも彼女の居場所がわかりました。行きますよ、時間がありません」
「……は?」
思わず止血する手を止めてリゼを見遣る。
「先ほど倒れていた内の一人を起こして話を伺いました。彼女は捕まってオークション会場に運ばれたそうです。指名手配犯というのが幸いしましたね。本当に彼女の悪運の強さは筋金入りです」
起こして、という単語の中に少々手荒な真似をして、という補足が入っているように聞こえたのはおそらくゼルの気のせいなどではない。
そしてさらりと告げた事態が相当面倒なことであるということもまた気のせいではないのだろう。
「オークション会場にって……」
「勿論、商品としてですよ」

