一緒にしてくれるな、と思いながらもゼルは暗い塔内へと足を進めた。
と、体が一気に粟立つ。
「……さすがに寒ィな」
肌寒さにゼルはぶるりと体を震わせた。
「そうですね。安心しました、一応そういう感覚もあったんですね」
いちいち一言多いリゼにゼルは口許を引き攣らせた。
「……アンタのその余計な一言は、わざとか?」
「いいえ。こういう性分なんですよ。今更変えられない、それだけのことです。……ええと、ああこれですね」
つまり、わざとなんだな、というゼルの苦々しい視線の先でリゼは塔の中心にあった昇降機の壁の一部を押した。
ぱかりと開いた石壁の奥には鏡のような真っ黒なタイルが貼られており、その下部にカードキーの挿入場所らしきものがある。
「確かカードを入れて……ああ、なるほど。これはダルシェウルの技術ですね。旧式ではあるようですが……何も装着することなく脳波まで読み取るとは……確かにこれでは部外者が侵入するのは至難の技ですね……いや、脳波に落とし穴があるとは考えられませんかね……?」
ぶつぶつと言いながらタイルに手を当てているリゼが活き活きとしているのだけはわかったが、何を言っているのか皆目理解出来ないゼルは昇降機が動く音を聞きながら意識と共に視線を明後日へと投げた。
「なァ、リゼ」
「おそらくこれはベータ波を……いえ、それでは余りに判断が曖昧ですから……」
「おいリゼ」
「……意識障害を見極めるといった方が正しいですかね……ということは……レム睡眠時のデルタ波なら……」
顎に手を当ててまだ何か言っているリゼが答える気配は一向に無い。
「リゼ、あれってよ……」
「……なんですか、五月蝿いですよ。少し黙っててもらえます?」
そう答えながらも視線を頑として動かそうとしないリゼだったが、一応声は聞こえているようなのでゼルは建物の端を指差して続けてみることにする。
「あの落ちてンの、オレの腕じゃねェか……?」
言い方に語弊があったのだと気付いたのはリゼが訝しげ且気味の悪そうな顔で振り向いてゼル自身の両腕を見たからだ。
「……貴方の腕は二本じゃ足りないんですか?」
「いや、んなわけねェだろ。そりゃもうちょいあれば便利だなって思うことも……じゃなくてだなっ! つかアンタ、指さしてる方見ろよ!」
と、体が一気に粟立つ。
「……さすがに寒ィな」
肌寒さにゼルはぶるりと体を震わせた。
「そうですね。安心しました、一応そういう感覚もあったんですね」
いちいち一言多いリゼにゼルは口許を引き攣らせた。
「……アンタのその余計な一言は、わざとか?」
「いいえ。こういう性分なんですよ。今更変えられない、それだけのことです。……ええと、ああこれですね」
つまり、わざとなんだな、というゼルの苦々しい視線の先でリゼは塔の中心にあった昇降機の壁の一部を押した。
ぱかりと開いた石壁の奥には鏡のような真っ黒なタイルが貼られており、その下部にカードキーの挿入場所らしきものがある。
「確かカードを入れて……ああ、なるほど。これはダルシェウルの技術ですね。旧式ではあるようですが……何も装着することなく脳波まで読み取るとは……確かにこれでは部外者が侵入するのは至難の技ですね……いや、脳波に落とし穴があるとは考えられませんかね……?」
ぶつぶつと言いながらタイルに手を当てているリゼが活き活きとしているのだけはわかったが、何を言っているのか皆目理解出来ないゼルは昇降機が動く音を聞きながら意識と共に視線を明後日へと投げた。
「なァ、リゼ」
「おそらくこれはベータ波を……いえ、それでは余りに判断が曖昧ですから……」
「おいリゼ」
「……意識障害を見極めるといった方が正しいですかね……ということは……レム睡眠時のデルタ波なら……」
顎に手を当ててまだ何か言っているリゼが答える気配は一向に無い。
「リゼ、あれってよ……」
「……なんですか、五月蝿いですよ。少し黙っててもらえます?」
そう答えながらも視線を頑として動かそうとしないリゼだったが、一応声は聞こえているようなのでゼルは建物の端を指差して続けてみることにする。
「あの落ちてンの、オレの腕じゃねェか……?」
言い方に語弊があったのだと気付いたのはリゼが訝しげ且気味の悪そうな顔で振り向いてゼル自身の両腕を見たからだ。
「……貴方の腕は二本じゃ足りないんですか?」
「いや、んなわけねェだろ。そりゃもうちょいあれば便利だなって思うことも……じゃなくてだなっ! つかアンタ、指さしてる方見ろよ!」

