「商品の保管場所? エナが追っていったのは……」
「奉公者の列でしょう? わかってますよ。おそらくそれはオークションで売買される奴隷たちのことです。それからゼル、少し声が大きいですよ。周りに聞こえてしまいます」
注意されて、ゼルは咄嗟に周りを窺った。何気に目が合った人間は何人か居たものの、耳を欹(ソバダ)てている様子がないことに安堵の息を吐く。
「つか、聞かれっとマズイのか?」
「当たり前でしょう。保管場所を人に洩らしでもしたら殺されますよ、私たち」
その言葉にぎょっとしてゼルはリゼに勢いよく顔を向けた。
「……アンタ、今平然とオレに洩らしたよな?」
視線を寄越したリゼは人好きのする笑顔でしれっと。
「それがどうしましたか。バレなければ問題ないでしょう? まあ、貴方が言いふらすのなら話は別ですが」
貴方、言います? との問いにゼルは首をぶんぶんと横に振った。
「それ聞いてわざわざ言うかよっ!」
ただでさえ賞金稼ぎに追われる身だ。これ以上厄介ごとを増やす気にはなれない。
「なら何の問題も無いですね。さて、どうします? 入ります? 此処」
古びているが一枚の木材で作られた上質の扉の前。
プレタミューズが建設されたのがどれほど前なのかは知らないが、旧時計塔は確かな歴史を感じさせた。
「……勝手に入って大丈夫なんかよ?」
商品の保管場所だとか、周囲に知られれば殺されるとか、そんな話を聞いたばかりでは及び腰にもなるというものだ。
「ええ、これが許可証になりますから」
懐から一枚のカードを取り出してリゼは再度問うた。
「ですから私たちが入るぶんには何の支障もありませんが……どうします?」
銀色にきらきらと光るカードを見つめたゼルは鼻息を一つ。
「入るに決まってンだろ。エナが居る可能性があるんだからよ」
扉を引く――結構重い。
「揉め事は御免ですからね。何事も穏便にお願いしますよ」
釘を刺されてゼルは眉を顰めた。
「オレぁ別に揉め事起こしてェわけじゃねェんだって」
剣の道を極める為に闘いを挑むことはあっても、厄介事で剣を揮いたいわけではない。
「そうでしょうかね。私の目から見れば貴方もエナさんも似たようなものですよ」
「奉公者の列でしょう? わかってますよ。おそらくそれはオークションで売買される奴隷たちのことです。それからゼル、少し声が大きいですよ。周りに聞こえてしまいます」
注意されて、ゼルは咄嗟に周りを窺った。何気に目が合った人間は何人か居たものの、耳を欹(ソバダ)てている様子がないことに安堵の息を吐く。
「つか、聞かれっとマズイのか?」
「当たり前でしょう。保管場所を人に洩らしでもしたら殺されますよ、私たち」
その言葉にぎょっとしてゼルはリゼに勢いよく顔を向けた。
「……アンタ、今平然とオレに洩らしたよな?」
視線を寄越したリゼは人好きのする笑顔でしれっと。
「それがどうしましたか。バレなければ問題ないでしょう? まあ、貴方が言いふらすのなら話は別ですが」
貴方、言います? との問いにゼルは首をぶんぶんと横に振った。
「それ聞いてわざわざ言うかよっ!」
ただでさえ賞金稼ぎに追われる身だ。これ以上厄介ごとを増やす気にはなれない。
「なら何の問題も無いですね。さて、どうします? 入ります? 此処」
古びているが一枚の木材で作られた上質の扉の前。
プレタミューズが建設されたのがどれほど前なのかは知らないが、旧時計塔は確かな歴史を感じさせた。
「……勝手に入って大丈夫なんかよ?」
商品の保管場所だとか、周囲に知られれば殺されるとか、そんな話を聞いたばかりでは及び腰にもなるというものだ。
「ええ、これが許可証になりますから」
懐から一枚のカードを取り出してリゼは再度問うた。
「ですから私たちが入るぶんには何の支障もありませんが……どうします?」
銀色にきらきらと光るカードを見つめたゼルは鼻息を一つ。
「入るに決まってンだろ。エナが居る可能性があるんだからよ」
扉を引く――結構重い。
「揉め事は御免ですからね。何事も穏便にお願いしますよ」
釘を刺されてゼルは眉を顰めた。
「オレぁ別に揉め事起こしてェわけじゃねェんだって」
剣の道を極める為に闘いを挑むことはあっても、厄介事で剣を揮いたいわけではない。
「そうでしょうかね。私の目から見れば貴方もエナさんも似たようなものですよ」

