この男の世界は、紛れも無く本人を中心に回っている。
エナが思うだけで口にしなかったのは、どうせ「そんなことないよ、エナちゃんが中心に決まってるじゃないか」と嘯(ウソブ)くのが目に見えているからである。
「……いいんですか、エナさんとゼルを一緒にすると、何をしでかすかわかりませんよ」
そりゃどういう意味だ、とゼルが唇を曲げる。
ゼルは自身がこのメンバーの中において良識人であることを自覚していた。
自覚せざるを得ないほどに、周りが非常識な人間ばかりなのだと思わないでもなかったが、ともかく、問題視される謂われは無いのである。
「誰が傍にいようが、しでかす時はしでかすよ、エナちゃんは」
今度はエナが唇を尖らせたが、ジストのこの言葉に残る二人は妙に納得してしまったようだった。
この後、反論らしい反論も無く、結果としてリゼとジストがプラチナオークション会場に、エナとゼルが宿に荷物を置きに行き、その後アルタイル一座に挨拶に行くということになった。
そしてジストやリゼの懸念通り、破天荒な少女はゼルの目を掻い潜ってまたしても事件を引き起こしてくれることになるのである。
エナが思うだけで口にしなかったのは、どうせ「そんなことないよ、エナちゃんが中心に決まってるじゃないか」と嘯(ウソブ)くのが目に見えているからである。
「……いいんですか、エナさんとゼルを一緒にすると、何をしでかすかわかりませんよ」
そりゃどういう意味だ、とゼルが唇を曲げる。
ゼルは自身がこのメンバーの中において良識人であることを自覚していた。
自覚せざるを得ないほどに、周りが非常識な人間ばかりなのだと思わないでもなかったが、ともかく、問題視される謂われは無いのである。
「誰が傍にいようが、しでかす時はしでかすよ、エナちゃんは」
今度はエナが唇を尖らせたが、ジストのこの言葉に残る二人は妙に納得してしまったようだった。
この後、反論らしい反論も無く、結果としてリゼとジストがプラチナオークション会場に、エナとゼルが宿に荷物を置きに行き、その後アルタイル一座に挨拶に行くということになった。
そしてジストやリゼの懸念通り、破天荒な少女はゼルの目を掻い潜ってまたしても事件を引き起こしてくれることになるのである。

