ガチャっと重たそうな屋上への扉を疾風が開けてくれる。



屋上に足を踏み入れると、いつもの5人が堂々と屋上を占領していた。


でも、その5人を黒い何かが纏わり付いていた。

私が入って来たのを確認して遊優は風生を指差して手を合わせて来た。


…喋りかければいいのかな?


『…何してんの…………』


私は黒いオーラが出ている風生に近づく。


「…………出るのおせぇよ」


風生は目尻を少し下げながら私を抱き寄せた。


『ごめんね?』


私はヒョコッと顔を風生の胸から出して風生の顔を覗き込む。


「…琉羽、それくらいにしておけ。


狼になるから」


涼雨が雑誌を見ながら呟く。


私は一瞬意味が解らなくって戸惑った。


「…琉羽、何か飲むか?」


そう言って空祐は色々な飲み物を小さい冷蔵庫から取り出した。



『…………ココア、ある?』


そう聞くと、空祐はガサガサと袋をまた漁った。


「ん~…あ、あった!」


空祐はまだほんのりと温かいココアを私に渡してくれた。



渡される時に風生の腕から脱出した。



『……懐かし…………』






懐かしい?






何が?










自分でも解らない事を言っていて、一瞬目の前が真っ暗になった。



何とか足を踏ん張って倒れない様にした。



……何が、懐かしい?



「琉羽、飲まねえのか?」


風生は不思議そうに私の顔を覗き込む。




『…飲むよ』