『だ……め…』
少女は必死に言葉を繋ぐ。
「おーおー、勝てる訳ねーのによー。」
殺されるのはそっちだよ、と男は蔑んだ目を向ける。
「……それは、どうでしょう」
後方から急に声がして、全員そちらを見る。
「良輔さん、やめましょうよ。
たかが、女の為にこんな抗争。しかも、相手はガキですよ」
突然出てきた男に少女は縋るような視線を向ける。
『コタ……』
男は不快そうに眉を寄せ、コタと呼ばれた男を睨む。
「コタ……………」
「もういいじゃないっすか。
“琉羽”との期間は終わりです」
コタは少女に優しく微笑みかける。
「今までお疲れ様。
夢羽」
『う、ぅっ……』
少女は涙を流した。
やっと、名前を呼んで貰った。
助けが来た。
………希望が見えた。

