「………ぇ…‼」
「……ぃ…ょ‼」
途中、騒音が外から聞こえて来るのに気づく男。
少女はもっと前から気づいていた。
でも、何も言わない。
関係無い、と思っているから。
首筋にうずめていた顔を上げる。
「何だ?」
男は怪訝な顔をしながら襖に目をやった。
騒音はすぐ側までくる。
「……返せ‼」
「あいつどこだよ‼」
「殺すぞ」
「あー、もう死んでくれる?」
「……どけ」
少女に聞こえたのは、
彼等の声。
『やめっ………』
急な反応を見せた少女に男は少し目を見開く。
そして、騒動の原因を悟り、ニヤリと笑う。
「面白くなってきたね」
男は少女の首筋にまた顔を埋める。
………わざとらしく。

