「まぁ、上手い事逃げたなぁ」
『………』
「“琉羽ちゃん”?」
呼ぶな。
ヨブナ。
これ以上私を惨めにしないで。
琉羽の心境なんて、誰にも伝わらない。
それは、琉羽が言わないからじゃ無く…
人が聞かないから。
物心がついた時から解っていた。
自分の、行く末。
「本当人形みたいな顔」
男はスッと琉羽の頬に触れる。
「その顔、歪ませてやりたい」
男は琉羽の腕を掴んですぐ側にあるベッドへ連れて行く。
「さ、久しぶりだねー。
琉羽。」
琉羽は彼をまともに見た。
「お前の名は、“琉羽”だよ」
ーーー“少女”に、現実を突き付けた。

